再生可能エネルギーの導入補助政策などが後押し
富士経済は2021年10月、ESS(電力貯蔵システム)と定置用蓄電システムに向けた二次電池の世界市場を調査し、その結果を発表した。2021年見込みの1兆4428億円に対し、2035年には3兆4460億円規模になると予測した。
今回の発表は、「系統・再エネ併設」「住宅」「業務・産業」の用途に用いられる鉛電池(Pb)やリチウムイオン電池(LiB)、ニッケル水素電池(NiMH)、NAS電池、電気二重層キャパシター(EDLC)、レドックスフロー電池といった二次電池を対象に調査した結果である。調査期間は2021年3月〜6月。
調査によれば、2021年のESS/定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場は、2020年に比べ43.1%の増加となる。再生可能エネルギーの導入補助政策などが需要を押し上げる。用途別では、系統用を中心とする蓄電システムの増加もあって、「系統・再エネ併設用向け」が、7145億円となり前年に比べ80.8%も増加する。日本や欧州、米国、豪州がメイン市場となる「住宅用向け」は、1481億円で同13.5%の増加である。北米を中心にピークカットの用途で市場を拡大する「業務・産業用向け」は、711億円で同24.1%の増加を見込む。
2035年の市場規模については、「系統・再エネ併設用向け」が2兆220億円、「住宅用向け」が3131億円、「業務・産業用向け」が3487億円、「その他」が7621億円と、それぞれ予測した。その背景として、系統・再エネ併設用向けは、「太陽光発電用や風力発電システム用が伸長」、住宅用向けは、「世界的な住宅太陽光発電促進の流れや日本でのZEH住宅の推進、災害発生時でも電力インフラを維持するレジリエンス性の強化」、業務・産業用向けは、「100kWh以上の蓄電システムで、PVシステムを中心に導入が進む。また、エネルギーサービス用電源としての需要が高まる」、といった点を挙げた。
富士経済は、「系統・再エネ併設用向け」と「業務・産業用向け」における注目市場も紹介した。その理由として系統・再エネ併設用向けでは、「アンシラリーサービス向けの増加」や「大規模な太陽光発電システムの案件増加」などを挙げた。電池別でみると、2020年頃から数百MWクラスの案件が増えているという。今後は車載用LiBの単価ダウンも期待されるため、用途の拡大を見込んでいる。
業務・産業用向けは大別して、小規模施設に設置される「100kWh未満の蓄電システム向け」と、中大規模施設に設置される「100kWh以上の蓄電システム向け」がある。100kWh未満の蓄電システム向けで注目している市場は、豪州におけるVPP(バーチャルパワープラント)構築に伴う蓄電システムの導入増加である。電動車の充電インフラ向けなどにも期待する。100kWh以上の蓄電システム向けでは、VPPやDR(デマンドレスポンス)といったエネルギーサービス用電源に注目する。需要拡大が期待できる地域として米国と中国を挙げた。
関連記事
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
からの記事と詳細 ( ESS/定置用二次電池、2035年に3兆4460億円規模へ - EE Times Japan )
https://ift.tt/3FCo58Y
No comments:
Post a Comment