2023年、為替の円安などを追い風に製造業では好業績を上げる企業が相次いだ。一方で中国経済の減速や物価高などの懸念材料もある。24年をどう展望し、どんな戦略で臨むのか。人工知能(AI)を搭載した自律型の次世代産業用ロボットを開発し、米国にロボット工場の新設を予定する安川電機の小川昌寛社長に聞いた。
製造業は世界的な在庫調整が一巡し、多くの企業で業績の回復が見込まれています。一方、中国減速などの懸念材料もあります。24年の需要動向をどう見ていますか。
安川電機・小川昌寛社長(以下、小川氏):産業用ロボットなど自動化に資するものへの世界的な需要はへこまないと見ています。工業製品などのモノの供給を持続的にするにはどうすべきかを考えた際、自動化が1つの解決策になるからです。
重要なのは、その需要に応えられる製品を我々が生み出せているのか、という点です。その需要に技術的に追随したい。その思いもあり、私たちは23年12月、周囲の状況を自ら判断して作業を行う自律型の産業用ロボット「MOTOMAN NEXT(モートマン・ネクスト)」を発売しました。

小川昌寛(おがわ・まさひろ)氏
安川電機社長。1964年生まれ、87年九州芸術工科大学(現九州大学)卒業、安川電機入社。ロボット事業畑を歩み、2010年米国安川会長、12年安川電機執行役員、16年ロボット事業部長、19年取締役、22年代表取締役専務執行役員、23年3月から現職(写真:飯山翔三)
AIを搭載し、不規則な配置や形状を把握して適切な動作を考える次世代産業用ロボットです。農作物の箱詰めや食器の片付けなど、これまで自動化できなかった作業領域に対応できます。
次世代ロボットでブレークスルー
自律型ロボットは、変種変量生産に対応した自動化へのニーズに応える製品として注目されています。
小川氏:「デジタルソリューション」というキーワードが着目される中、我々もAIの実用化を考え、たどり着いたのが自律型ロボットでした。これまでの工場は、人間の感性や暗黙知、経験に頼っていた部分があります。
ロボットは決められたものを大量に生産することで社会に大きく貢献してきましたが、それ以外の領域では十分に(貢献)できていません。次世代ロボットによってこんな状態をブレークスルー(突破)しようと考えています。
AIのような新技術は多くあります。関連するセンサーや認識技術も山ほどある。それらは1個だけでは何もできません。それをいかに一体化させていくか。ソリューションがカギです。
ただ製品を売るだけではいけません。ソリューションを提供すると、エコシステム(生態系)ができる。エコシステムが発展し産業として認知されるようになれば、社会の自動化は加速するでしょう。

安川電機が23年12月に発売した自律型産業用ロボット「MOTOMAN NEXT」
少子高齢化による労働力の減少が社会課題になっています。様々な課題を自動化によって解決していきたいです。効率的でタイムリーに、持続的にサービスやモノを提供できる社会はSDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の達成にもつながると考えています。
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