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Tuesday, January 25, 2022

産業用ロボットにも「サブスク」の波 - WIRED.jp

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シカゴ南部の企業であるPolar Manufacturingは、金属製のちょうつがいや錠前、ブラケットなどを100年以上にわたって製造してきた。作業者の前に立ちはだかる巨大で無骨な金属プレス機のなかには、1950年代から使われ続けているものもある。

そんな同社は、2021年に初めて「ロボット従業員」を導入した。人手不足が続くなかで高まる需要に対応する狙いである。

この“従業員”として導入されたロボットアームは、金属の塊を持ち上げてプレスに入れる単純な繰り返し作業を担う。そのあとはプレス機が金属を曲げて別の形状にする。このロボット従業員には人間と同じように、働いた時間数に応じて賃金が支払われる仕組みだ。

Polar Manufacturingで生産ラインを管理しているホセ・フィゲロアによると、このロボットはFormicという企業から借りているもので、コストは時給8ドル(約910円)相当になるという。ちなみに人間の従業員の最低賃金は時給15ドル(約1,700円)だ。ロボットを配備することで人間の作業員は別の作業を担当できるので、全体の生産量を増やせるのだとフィゲロアは説明する。

「中小企業は新しいテクノロジーに投資できないことで苦境に陥るときがあります」と、フィゲロアは言う。「わたしたちは、ちょうど最低賃金の引き上げへの対応に苦しんでいたところだったのです」

導入の決め手になったのは、初期投資として10万ドル(約1,100万円)を支払ってロボットを購入する必要がないことと、購入せずに借りることでロボットのプログラミングに多くの資金を使えることだった。このため5年以内に25台のロボットを生産ラインに導入したいと、フィゲロアは語る。同社に勤務する70人の従業員についてはひとりも置き換えを考えていないというが、新しい従業員を雇う必要はないかもしれないという。

これに対してロボットを貸している側のFormicは、標準的なロボットアームを購入して独自のソフトウェアと組み合わせて顧客に貸し出している。このように、利用した分だけ支払いを求めるかたちで現場に配置されるロボットの数は、少ないが増加傾向にある。

ロボットもPCのように普及する時代へ

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、さまざまな業界で人手不足が起きている。しかし中小企業の多くでは、自動化に多額の資金を投じることに消極的だ。

「いまのこの時期、人員数や人手の必要性を減らすために役立つことなら、何でも明らかにプラスになるのです」と、イリノイ州スコーキーの菓子メーカーGeorgia Nutの最高執行責任者(COO)のスティーヴ・フムラは語る。Georgia Nutは人材探しに苦労しているといい、Polar Manufacturingと同じくFormicからロボットを借りている。

このようにロボットを借りて従業員にするという手法は、導入する企業にとって経済面でのメリットをもたらし、より小規模な企業にも急速に自動化を浸透させていく可能性がある。Formicのような企業は数多くの小企業にサーヴィスを提供することで、大きなビジネスを築くチャンスになると見ている。これらの企業の多くが収集したデータをマイニングし、製品の改良やカスタマーオペレーションの改善に役立てている。

Formicの投資家のひとりであるシャハン・ファルシチは、現在のロボット工学の状況をパーソナルコンピューターが増え始める前のコンピューター界の状況にたとえる。つまり、プログラミングやメンテナンスに膨大な専門知識を必要とする巨大なコンピューターシステムに投資できたのは、資本力のある企業だけだった時代だ。

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