今年のドラフト戦線では「高校BIG3」が注目を集めている。 高知中時代に軟式球で150キロを計測して話題となり、高知高ではそのスピードを154キロまで上げた森木大智。最速152キロを誇り、今年のセンバツにも出場した市和歌山の小園健太。今夏の秋田県大会で157キロを叩き出し、甲子園でも出場選手最速の152キロをマークしたノースアジア大明桜の風間球打。高校球界で異彩を放った3つのダイヤの原石は、ドラフト1位指名が確実視されている。 【画像】これが今年のドラフト目玉候補だ!<投手、内野手、外野手、捕手>合計12人の写真を一気に見る!(12枚) 150キロを超えるストレートを投げる高校生。確かに魅力的だし、ロマンに溢れる。 しかし、それだけで勝てるほど野球というスポーツは甘くない。事実、小園と森木は夏の地方大会で消え、甲子園出場を果たした風間にしても、全国では1勝に終わっている。
明徳義塾は森木&風間をどう攻略したのか
「両方とも球は速いですよね。なんとも言えないですけどね」 能力を評価しつつも、どこか奥歯に物が挟まったように話していたのは、明徳義塾の馬淵史郎監督だった。 馬淵は高知県大会決勝で森木を、甲子園2回戦では風間の牙城を崩した。「両方とも」とは彼らを指しており、甲子園通算54勝の名将の攻略法は一貫していた。 戦術はいずれも、スピードボールの対策を立てた上で多くの球数を投げさせたことだ。 森木との対戦では、160キロ近くに設定したマシン打撃で速球に目を慣れさせ、高めのストレートと低めの変化球を見送ることを徹底。9回途中までに124球を投げさせ完投を許さなかった。ボールに角度がある風間に対しては、パレットの上にマシンを設置し、打撃投手にもそこからボールを投げさせることで順応させ、森木と同じようにコースを見極めることで6回139球も投げさせた。 明桜戦に勝利後、報道陣は「すごい風間を攻略した明徳義塾」を強調させたがるように、こんな質問を馬淵に向けた。
馬淵監督が語った「速球派」への“助言”
――これまで対戦したピッチャーと風間投手の違いとは? 「確かにストレートは速いですけど。速いですけど……どうなんでしょうね」 馬淵がそう切り出し、突きつけたのは、速球派へのロマンなどではなく、現実だった。 「スピードガンでは150キロ出ていますけど、どの高校も打つ練習はしていますから、甘いところに来ればそりゃあ打たれますよね。アウトローにピシッと投げられれば、そんなに打たれないとは思いますけど、インコースも使わないと。かといって、そこばかり意識しすぎるとフォアボールが多くなりますしね。変化球にしても、随所に厳しいところに決まればストレートも速く感じるでしょうけど、ストライクが入らなければストレートに的を絞れば捉えられますから」 馬淵の発言はまるで、風間だけというより、「剛腕」などと騒がれるピッチャー全員への助言のように聞き取れた。 150キロを超えるストレートは、あくまで球種のひとつにすぎない。インコース、アウトコースに投げ分けられるコントロールや緩急と、大きな武器を生かす術を見出さなければうちには勝てないよ――馬淵はそう告げているようにさえ感じた。森木と風間の比較に「何とも言えない」と難色を示していたのは、そのためでもあるのだろう。 それだけの説得力が、今年の明徳義塾にはあった。センバツに出場し、夏は甲子園ベスト8まで進出したチームを、馬淵は「THE高校野球のよう」と胸を張った。 「明徳の野球は本来、細かいことをしっかりやれることなんです。キャッチボールから始まって、守備、バント……。本当はね、(準々決勝で敗れた)智弁学園さんのような4番バッターが欲しいですけど(笑)、170センチそこそこの体が小さい選手が多くても、一生懸命に細かいことをやっていればここまで勝てるんだよ、と証明できたと言いますかね。全国の高校球児の参考になるようなチームは作れたと思っています」 そんな高校野球を地で行くチームが、超高校級ピッチャーを攻略したこと。何より「スピードだけでは勝てない」と、彼らに教訓として植え付けたことに大きな意味があった。
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