[瀋陽(中国遼寧省) 30日 ロイター] - 中国国内で電力不足が長引く中、中小企業の間ではディーゼル発電機を使用したり、店舗を閉めるなどの動きが出ている。一方、石炭産業関係者は冬に向けて備蓄を懸念し、世界第2位の経済大国である同国の製造業は縮小しつつある。
特に、1億人近い人口を抱える遼寧省、黒龍江省、吉林省の東北部3省では、ここ数年で最悪の停電に見舞われており、中央政府は電力会社に石炭供給を増やすため躍起になっている。
遼寧省の省都瀋陽で工業用ランドリー会社を経営するGao Lai氏は、電力不足のためにディーゼル発電機を導入した結果、赤字に転落。「4日間だけならまだしも、それ以上となるとコストがかかり過ぎてやっていけない」とロイターに語った。
今回の電力不足は、中国の発電資源の約3分の2を占める石炭が不足していることに端を発した。鄭州商品取引所の一般炭先物は、30日に1トン=1408元(218ドル)の最高値を更新し、4.2%高で取引を終えた。
中国国家統計局が30日発表した9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6と、予想に反して前月の50.1から低下し、景況悪化を示した。原材料価格の高騰と電力不足が中国の製造業を圧迫し続けている。
先週以降、電子部品メーカーから金採掘業者まで100社以上が生産停止を株式市場に通知した。一部企業はこの2日間で生産を再開したという。
中国石炭工業協会は需要のピークである冬を控え、供給について「楽観的ではない」と警告し、発電所の在庫が「明らかに少ない」と指摘。各社に供給量を増やすために「努力を惜しまず」、長期契約を結んでいないが、消費量が多い小規模顧客への販売に注力するよう求めている。
中国の投資銀行CICCのアナリストは、8月の石炭生産量は過去最高を記録したものの、最近の相次ぐ鉱山事故を受けて規制当局は生産量の拡大承認に慎重になっていると指摘した。
また、前年同期比10.3%減となっている1─8月の輸入量が年末までに大幅に増える可能性は低く、より多くの国内生産を「解放」する必要があると述べた。
政府は、冬季の家庭用電力と暖房供給を優先するとし、国有の石油・ガス大手、中国石油化工(シノペック)は液化天然ガスの輸入量を増やすと表明した。
しかし、シティのアナリストは、冬の暖房ピークシーズンには電力不足が続くと予想し、暖房用電力の大半が石炭火力だと指摘した。
中国の水力発電業界研究団体のZhang Boting氏は今回の危機について、供給不足ではなく柔軟性に欠ける送電網のシステムが原因だと指摘。「解決策は単に発電能力の増強に頼るのではなく、送電網のピーク調整能力を高め、エネルギー負荷と供給の深刻なミスマッチを解決することだ」と述べた。
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