中国・江蘇省各地の日商クラブなどによると、9月中旬以降、江蘇省内の地方政府と開発区などが、企業に対し、電力消費量の削減や操業制限などを要請している。中には、年間の電力消費量を前年比で30%減、電力供給これまでの40~70%程度に制限するなどの厳しい要求も含まれる。
現地報道などによれば、江蘇省のほか、雲南省、広西チワン族自治区、青海省、寧夏回族自治区でも、電力制限やエネルギーを多く消費する企業への生産停止や制限などの措置が取られている(「北極星電力網」9月17日)。雲南省では、黄リンや工業用シリコン製造企業に対して、9~12月の月間平均生産量を8月の90%減とする厳しい通知も出されている(「テンセント網」9月17日)。
電力消費量の削減や操業制限の要請には、各省のエネルギー消費削減目標の達成状況が関連している可能性が高い。中国国家発展改革委員会は8月17日、2021年上半期(1~6月)の各省・自治区・直轄市のエネルギー消費量とGDP単位当たりのエネルギー消費量(エネルギー強度)の削減目標(以下、両目標)の、それぞれの達成状況を発表している。
エネルギー消費量とエネルギー強度が前年同期に比べ、増加した場合は第1級警告として「赤信号」、減少したが削減量が十分でない場合は第2級警告の「黄色信号」、削減目標を達成した場合は第3級警告の「青信号」で、対応状況を示している。
6月3日に発表された2021年第1四半期(1~3月)のそれぞれの達成状況と比べ(2021年6月10日記事参照)、江蘇省をはじめ、広東省、福建省、雲南省、広西チワン族自治区、青海省、寧夏回族自治区の7つの省・自治区では両目標がともに「赤信号」で、今回、電力制限の対象となった地域が全て含まれている。ちなみに、北京市、天津市、上海市、山東省、重慶市など10の省・自治区・直轄市は、両目標を達成して「青信号」となった。
第14次5カ年(2021~2025年)規画では、エネルギー強度の削減は必ず達成しなければならない「拘束性目標」とされ、今後も目標達成のために電力制限などの措置が取られ、企業の生産活動に影響が出る可能性がある。
(高橋大輔)
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