東京五輪に合わせて来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67=ドイツ)が16日、被爆地の広島市を訪問した。東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)らと平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花して資料館を見学。被爆者の梶矢文昭さん(82)とも対面し、スピーチでメッセージを発信する。
国連総会決議の「五輪休戦期間」がこの日から始まったことを受け、被爆地の広島からスポーツを通じた平和への取り組みを世界に発信するねらい。16日はIOC副会長のジョン・コーツ東京五輪調整委員長(71=オーストラリア)も被爆地の長崎市を訪問する。バッハ会長は当初、聖火リレーが広島市を通過する5月の訪問を計画していたが、緊急事態宣言の延長により来日を断念。今回も東京都などに緊急事態宣言が再発令されており、五輪開催も含めて“強行訪問”には批判の声が多く挙がっている。原爆ドーム前ではこの日、「バッハは広島に来るな!」「中止だ!東京五輪」などと書かれたボードを持った人々が抗議活動を行った。
広島市はバッハ会長の訪問に伴い、警備強化を理由に午後0時半から慰霊碑や資料館付近への一般市民の立ち入りを禁止。資料館と追悼平和祈念館は一時閉館した。市によると、海外要人の訪問で資料館を一時閉鎖したのは16年4月の先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)の外相、同年5月のオバマ米大統領(当時)、19年11月のローマ教皇フランシスコの3例しかなく、異例のVIP待遇と言える。
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