オリックスのドラフト3位、来田涼斗外野手(18=明石商)が、衝撃デビューを飾った。1軍昇格を果たすと、12球団の高卒新人一番乗りでスタメン出場。初回の初打席で、日本ハム池田の初球を右翼芝生席にたたき込んだ。高卒新人の初打席初球本塁打は史上初めて。明石商(兵庫)では2年のセンバツで史上初の先頭打者弾&サヨナラ弾を成し遂げたスラッガーが、プロでも歴史を塗り替えた。

初回に3点を先制し、なおも2死一塁。「初球から振っていくのが自分のスタイル。タイミングが合えば」の初球打ち。プロの1軍でも、信条を貫いた。試合前のシートノックまで「緊張マックスだった」と来田はいう。11日のウエスタン・リーグのソフトバンク戦で3安打を放った試合中に昇格を伝えられた。タマスタ筑後から1軍のいる福岡市内に急ぎながら、緊張との闘いは始まった。それが試合開始後、きれいに消えた。交流試合を含めて春夏4度、甲子園に立った経験が生きた。

春季キャンプで吉田正に願い出て、バットをもらった。「自分のよりちょっとグリップが太い。それでも振りやすい」。この相棒であの打撃を生んでいるのか、と思いを巡らせながら素振りを続けた。貪欲に、技術の向上を目指してきた。

その吉田正と先発オーダーに名前を連ね、3安打猛打賞の結果を出した。「練習をしっかりして、もっと上を目指して打っていきたい」。ファンを通じて手元に戻った本塁打球は両親に贈る。カモメの飛び交う北の地で、二盗まで決めたデビュー戦。釧路は、忘れられない町になった。【堀まどか】

▼高卒新人の来田が初打席で初球を本塁打。初打席本塁打は20年大下(オリックス)以来67人目で、初球を打ったのは19年コラス(ソフトバンク)以来10人目。高卒新人では18年村上(ヤクルト)以来8人目となり、高卒新人の初打席初球本塁打は初めて。来田は2、3打席目も安打。初打席本塁打の試合で猛打賞は83年駒田(巨人)95年稲葉(ヤクルト)13年加藤(ロッテ)に次ぎ4人目で、高卒新人は初。高卒新人のデビュー戦猛打賞は84年村上(近鉄)以来と珍しく、「初打席本塁打」の条件を外しても高卒新人がデビュー戦で1発含む猛打賞は2リーグ制後初めてだった。

◆来田涼斗(きた・りょうと)2002年(平14)10月16日生まれ、兵庫県神戸市出身。小学6年時にオリックスジュニアに選出された。明石商では1年夏、2年春夏に甲子園出場(20年夏の甲子園交流試合を除く)。2年春の智弁和歌山戦では春夏を通じ史上初めて、同じ試合で先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打。同夏の履正社戦では史上初となる通算2本目の先頭打者本塁打。20年ドラフト3位でオリックス入団。180センチ、85キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸500万円。

▽オリックス中嶋監督(来田の初打席弾に、ベンチでガッツポーズ)「日曜日に3本打って。上げるつもりではいたんだけど、そのままの調子で来てくれたんで、非常によかったです。しっかり振りにいくというか、その姿勢を見てみたいな、というのがあったので。恐ろしいですね、初球。(過去に)あるの? すごいな」