【ニューヨーク15日(日本時間16日)】米有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)など欧米主要メディアが、新型コロナウイルス感染再拡大の影響で今夏の東京五輪が開催中止に追い込まれる可能性があると相次いで伝えた。特に河野太郎行政改革担当相(58)が開催の“不確実性”を日本の閣僚で初めて認める趣旨の発言をしたことが、世界的に波紋を広げている。
1年延期された東京五輪イヤーに突入した矢先、世界各地で開催への慎重論が加速している。ニューヨーク・タイムズは「東京五輪への期待が暗転」と題し、開催中止の可能性に踏み込んだ。
「第2次大戦後では初めて、五輪が中止に追い込まれるかもしれない。国際オリンピック委員会(IOC)や日本も、安全に大会を開催するのは不可能だと認識し始めている」
特に、河野行革担当相の発言が海外主要メディアで一斉に取り上げられた。ロイター通信などが15日、河野氏が「(無観客の可能性を含めて)五輪に備えて最善を尽くす必要があるが、どちらに転ぶかは分からない」と発言したと紹介。フランス紙フィガロが「日本の閣僚、五輪が開催されない可能性に言及」と反応したほか、スポーツ専門放送局ユーロスポーツ(ともに電子版)も「日本の大臣が『どんなことも起こり得る』と認めた」と報じた。
各メディアは、IOC最古参委員のディック・パウンド氏(78)=カナダ=が今月7日、開催に「確信が持てない」と述べたことにも言及。IOCや日本政府は公式には予定通りの開催を強調しているが、内部では“悲観論”も出始めている現状を示した。
ブルームバーグ通信は(1)ワクチン接種が始まっても感染が猛威を振るっている(2)緊急事態宣言が出た日本での感染率が依然として高い(3)世論調査での開催支持率の低下-の3点を理由に「安全に開催できるか疑問を投げ掛けている」と指摘。ニューヨーク・タイムズもワクチン接種普及の遅れに触れ、約1万人の選手や関係者が大会までにワクチン接種を終えるのは「非現実的だ」とした。
開幕まで半年あまり。同紙は「五輪がコロナ克服の証しとなるという夢も消えかけている」。感染を抑えられなければ、五輪中止論にさらに拍車がかかりそうだ。
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