フットボールアワー後藤輝基の母校で公立校の山田が、履正社に逆転勝ちで初の近畿大会出場を決めた。

我慢の野球でワンチャンスをものにした。6回に相手5番にソロ本塁打で先制されたが、最後まで気持ちは切らさなかった。「最速は130キロ出てるかどうか」という先発の坂田凜太郎投手が、履正社打線を相手に縦スライダーやカットボールなどゆるい変化球で翻弄(ほんろう)。「割り切って思いっきり抜く感じで投げた」と9回6安打1失点と粘りの投球。バックの堅い守備にも助けられ、決定打を許さなかった。

1点を追う9回表。相手の暴投なども重なり1死二、三塁とし、4番横田那音捕手が逆転の2点適時打で試合を決めた。

校庭にあるグラウンドは、7つの部と併用。内外野の連係プレーはできず、学校の近くには老人ホームがあるためフリー打撃はできない。周囲に人がいない時を狙って行うが、ネットを超えないように竹バットを使用。金属バットを使った打撃練習は鳥かごで打つ時のみという限られた環境下。金子恭平監督が「見てもらったら分かりますが、こんなところで野球やっているのかという感じです」と苦笑を浮かべるほどだ。

公立校の秋季近畿大会出場は、94年の市岡以来で26年ぶり。指揮官は「99パーセントの人がうちが負けると思っているからこれをひっくり返せる、そんな面白いことはないよと言っていた。正直この現実に僕がついていけてません」と興奮冷めやらなかった。