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Wednesday, July 15, 2020

エプソン、商業・産業用プリンターの売り上げ5年で倍に - 日本経済新聞

セイコーエプソンは広告やアパレル関連などの印刷に使う商業・産業向けプリンターの売り上げを5年で2倍の2000億円規模にする。対応機種を大幅に増やすほか、顧客の生産・品質管理を支援するクラウドサービスも始める。世界的な成長分野とみて重点育成する。

約2メートル幅の印刷が可能になり、生産性が大幅に高まる(8月発売予定の「SC-F10050」)

約2メートル幅の印刷が可能になり、生産性が大幅に高まる(8月発売予定の「SC-F10050」)

同社は15日、商業・産業向け大判インクジェットプリンター「SureColor(シュアカラー)」シリーズの新機種を発表した。ポリエステル生地などへの印刷に使う昇華転写プリンターのフラッグシップモデル「SC-F10050」など3機種で、7~8月に発売する。

SC-F10050はシリーズで最も大きい76インチ(約1メートル95センチ)幅の印刷に対応する。ユニホームなどを複数枚まとめて印刷することも可能で、生産性が大幅に高まる。内部構造の工夫により、プリンターヘッドを利用者自ら交換できるサービスも用意し、故障時の業務再開を円滑にする。価格は800万円台半ばを想定。今年度は20台の販売を見込む。

さらに大判インクジェットプリンターの利用者向けに新たなクラウドサービスの提供を15日に始めた。プリンターの稼働状況や印刷実績などを見える化し業務改善などにつなげる。エプソンも稼働状況をモニターすることで、遠隔地からの故障診断なども可能になる。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大もあり、従来型の集中生産から消費地に近い場所での分散印刷が広がる可能性が高い。新たなクラウドサービスなどを活用すれば、より柔軟な生産体制の構築につなげられると顧客にアピールしていく。

商業・産業印刷は屋内外の広告看板やポスターなどのサイネージ、商品パッケージなどに貼るラベル、衣料品やインテリアなどに使うテキスタイルと多岐にわたる。デジタル化が進んでいない分野も多く、エプソンのデジタル印刷技術を広める余地が大きいとみる。

商業・産業分野の強化に向けて様々な分野や用途に対応したプリンターを短期間で大幅に増やす方針。プリントヘッドやインク供給システムなど主要システムを組み合わせるだけで、多彩なプリンターを投入できるようにする。

エプソンは「カラリオ」に代表される消費者向けビジネスに強みがあるが、近年は市場拡大が見込める法人向けの強化を急いでいる。対応機種の拡大に加え、スタートアップを含めた他社との連携による新たな用途などの開拓や、コア部品であるプリンターヘッドの外販などに力を入れる。

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