不動産投資と聞いて、あなたは何をイメージするでしょうか?
多くの方が実物の不動産を想像するかもしれませんが、実は不動産投資にはその他にも証券化された不動産投資信託を購入する方法があり、これがリート投資という方法です。
またリート投資には個別株と同じように「個別リート」も存在しますが、日本から米国リートに投資する場合「リートETF」が一般的であるため、今回は米国リートETFについて解説していきます。
リートの仕組みとは
そもそもリートはどんな仕組みなのかというと、投資家から資金を集めた投資法人が複数の不動産に投資をします。物件の種類としてはホテルや商業施設、オフィスや物流倉庫などさまざまで基本的に大規模施設が中心です。
つまりリートを通じて、個人投資家には手が出せなかった大型不動産にも投資することが可能となったのです。より正確にいうとリートに投資をするということは直接的に不動産に投資をしているのではなく、証券を購入することで出資をしていることになるのです。
そのため投資家自身は実物の不動産を所有しているわけではありません。
ではリート投資のメリットが何かといえば、証券であるため不動産の運用益だけでなく証券の価格変動による売却益を狙うことも可能であることです。
また投資家による物件取得や不動産運用の必要がないことも大きなメリットといえるでしょう。
また資産三分法という考え方があり、これは異なる性質の資産を3つに分ける方法です。
一般的には「現金」「株」「不動産(土地含む)」に分けられ、資産の安全性とポートフォリオの組み合わせの観点からもリート投資は検討に値すると考えられます。
米国リート投資の魅力とは
なぜリート投資のなかでも「米国リート投資」に注目なのかというと、それは米国と日本の人口推移や経済成長を比較したときに、圧倒的に米国が有利であるからです。
実際、米国は先進国では数少ない人口増加国であることに加えて、次世代産業の覇権も米国企業が握っています。それは今後も米国が資本主義の覇権国として世界をリードすることを意味しています。
それに加えて米国は日本よりも中古物件の資産価値が高いことも、リート投資する上でプラス材料です。
一方、日本はというと人口減少による少子高齢化が進んでおり、今後も不動産価格の上昇は都心部に集中するはずです。また地震大国でもあるので災害リスクがあります。
こうした前提条件が変わらない限り、長期的には日本リートよりも米国リートの株価が上昇していく確率が高いといえるはずです。
つまり両国を比較した場合、より安全なのは米国リートではないでしょうか。
またリート投資の魅力として堅実な分配金が挙げられます。そしてリートは実物の不動産ではなく証券であるため、市場のタイミングを見ながら売却しやすく流動性や換金性が高いことも大きな魅力です。これが実物不動産との大きな違いでしょう。
もちろんリスクはある
とはいえ投資にはリスクが必ずあるため、あえてリート投資のデメリットを挙げるとすれば、景気悪化による空き物件の増加、不動産の老朽化、自然災害、金利の上昇などのリスクがあります。
だからこそより安全に投資を進めていこうと考えるのであれば、分散投資が可能なリートETFが現実的な選択肢になるのではないでしょうか。
米国リート投資一覧
それでは具体的な米国リートETFを3本解説していきます。
【RWR/SPDRダウジョーンズREIT ETF】
まるごと米国リート(100銘柄以上)に投資をするならこのETF1本です。
組み入れ業種としては、
工業用/オフィス不動産(34.74%)、住宅用不動産(18.84%)、小売(17.44%)、
ヘルスケア関連(10.58%)、倉庫(9.41%)、分散型(5.13%)、ホテル(3.86%)と続きます。
株価91.85ドル、分配金利回り3.59%、分配金回数は年4回です。(執筆時点)
【XLRE/不動産セレクトセクターSPDRファンド】
S&P500の不動産セクターに組み入れられている銘柄(約30銘柄)に投資するETFです。
組み入れ業種としては、
リート(97.12%)、不動産管理・開発(2.88%)です。
株価38.96ドル、分配金利回り3.45%、分配金回数は年4回です。(執筆時点)
【IYR/iシェアーズ米国不動産ETF】
ダウ・ジョーンズ米国不動産指数の価格と利回りに連動するように設計されたETFです。
組み入れ業種としては、
専門不動産リート(39.54%)、住宅用不動産リート(14.88%)、工業不動産リート(11.43%)、
店舗用不動産リート(9.98%)、ヘルスケア関連(7.77%)、オフィス不動産(5.13%)と続きます。
株価88.85ドル、分配金利回り2.73%、分配金回数は年4回です。(執筆時点)
このようにリートであれば少額から不動産投資も可能であるため、資産分散の観点からも魅力的な投資先の一つとして検討できるのではないでしょうか。
おわりに
米国の不動産価格を調べる便利なデータベースに「FRED」があります。
これは米国の中央銀行であるFRBの支店の役割を担っている12の連邦準備銀行のうちの一つであるセントルイス準備銀行が発表している統計データサイトです。
そのFREDで過去の米国不動産価格を見ていくと実は共通する特徴があります。
それは「不動産価格は株式市場のあとに動き出すことが多い」ということです。
もちろん全てのデータが一致するわけではなく同時期に連動する場合もありますが、リーマンショックのときの株価の底値は2009年3月でしたが、不動産価格の底値は約2年半後の2011年末でした。これは米国だけの現象ではなく、EUや日本の住宅価格指数の底値は直近の景気後退時期から約2年遅れています。つまり、株式市場の底値が見えて、株価が上昇トレンドに入り始めたタイミングは不動産投資の絶好のタイミングともいえるのです。
こうした株式と不動産のタイムラグがあることを知っておくことは、景気サイクルを感じながら米国リート投資をする上で大きな手掛かりになるのではないでしょうか。
今回の記事で少しでも米国リート投資の知識についてお役に立てたなら、大変嬉しく思います。
文/鈴木林太郎
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