※6月3日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
望月：今回ご紹介したいのは「松本産業株式会社」という会社です。どんな会社かをお話する前に、どうして松本産業にたどりついたのかお話しますね。
いつも#こんな求人みつけてきましたのコーナーでご紹介するからには、できる限りどこにも取材されたことがない会社やニッチな業界を探すんですが、「面白いところ見つけた！」って思うと、「またこのサイトに載ってた！」というサイトがあって、それが「静岡まるごとネット通販」なんです。
キャッチコピーが「ちょっとディープな静岡県の商品をのぞいてみませんか？」という、静岡県の面白い商品を扱っているショッピングモールサイト。例えば、焼津の温泉旅館の女将が作ってる「温泉美人トマトシャーベット」、毎年大人気の土井製菓「甘夏ゼリー」、上白石萌音さんがごはんにかけているらしい「のどぐろ塩」！ その他、オーガニックな石鹸とかキャンドル、ガラス雑貨、ひのき製品など、本当にいろんな商品を扱っています。
原口：静岡といえば思いつくような定番商品だけでなく、静岡県にある本当にさまざまな細かいものを扱っているんですね。
望月：すごく面白いので、サイトの運営会社を見てみたら「脇役商品株式会社」と、ありました。ところが、ここがまた違うサイト、本当に「脇役」な商品、いわゆる「工業用部品」専門の通販サイトを運営しているんです。オイルシール、Oリング、ピストン・ロッド両用パッキン、ダストシール、接着剤、さび止めなど。
例えば、このOリングを主に自動車部品用や機械用に販売していて、1個9円（送料別）とかから買えるんです。そして種類がすごい！ Oリングだけでも、寸法違いで500種類が、材質違いでさらにあって合計5000種類あるんです。
原口：お店向けに販売するところかと思ったんですが、個人でも買えるんですね？
望月：修理屋さんなども買いますが、車好きな人も個人で買うそうです。私の知らないカテゴリーがいろいろあって、全部で30000種類くらいあるんですよ。
そんな「脇役商品株式会社」に取材依頼したら、ややこしいですが、「静岡まるごとネット通販」を運営している「脇役商品株式会社」は、「松本産業株式会社」が親会社だと分かり、今回の取材にたどり着きました！お話を、脇役商品株式会社の執行役員・佐藤公大さんに伺いました。
1912年創業、松本産業株式会社とは
松本産業株式会社は、今から110年前の1912年に富士市吉原で松本為吉商店として創業。初めは、古タイヤからサンダルや長靴、ホース、工業部品のベルトなどの、産業用のゴム部品の会社でした。1981年に「産業用ゴム部品の専門商社」として松本産業株式会社が誕生。さっき説明した脇役商品株式会社は、松本産業が通常、大手や中小の会社に販売している部品を、1つから個人でも気軽に買ってもらう、ということで13年前から始めた会社なんです。
私が最初に言った「静岡まるごとネット通販」とはどういう関係かというと、松本産業は商社なので、毎日付き合いのある会社に配達便を3便出して、配達しています。その配達の車の便が、帰りはカラになってもったいないから、「じゃあ、近隣の会社の面白い商品を集めてきて売ろう！」と始めたのが、「静岡まるごとネット通販」なんです！ ムダがなくてすごくいいアイデア！
原口：帰りがてら気になったものを探し集めてきてネットで売ると。
望月：自分のサイトがなかったり、通販をしていないお店の商品も、ここ経由で買える仕組みになっています。
事務作業はロボットにおまかせ！
望月：このサイトをほぼ一人で立ち上げて、ほぼ一人で運営してるのが今回お話しを伺った佐藤公大さん。佐藤さんとお話をしていると、社員のみなさんが優秀で、それぞれの役割がしっかりしていると感じました。佐藤さんひとりでやらせてみようという会社の力量もすごい！松本産業は、上海にも拠点があるような年間で十数億の売上がある大きな商社なのに、正社員はわずか23人！いくら商社だってこれだけの商品を扱うには、それなりのスタッフが必要なはず！と思い、在庫のある倉庫を見せてもらいました（笑）。そうしたら、倉庫で出荷作業をしているのがロボットだったんです！ しかもロボットの方が人間の数より多い。佐藤さんの発案で、数年前にロボット倉庫用に建屋をつくったんだそう。
13段も積み上がったコンテナの上を、ロボット12台が動いて、お客さんからきた注文データをもとに商品をピックアップし、即日配送しているんです。12台もいるから、優先順位や効率を考え、お互い譲り合って作業していて、その様子が人間みたいでなんか可愛くなるくらい。ロボットだから24時間働けるので、夜中のうちに翌朝一番に出したいものから並べておいてくれる。そのおかげで最低限の人員で作業ができているんです。
なんでこういうことができているかというと、松本産業の考え方が素晴しい！ 「単純な事務作業はロボットがやればいい。人間はもっと意味のあることをやろう」と。
社員はお客様を全力でサポート
望月：じゃあ、松本産業の人は何をやってるかっていうと、お客さんが新しいモノを作るときの全力サポートです。例えば、新しい機械を作るとき、各種の工業用の規格に適合しているか？ 適合させるにはどうしたらいいかノウハウを提案したり、外国語（英語やベトナム語などいろいろな言語）ができるスタッフが煩雑な輸出の手続きを手伝ったりしています。
商社は、本来は買ってきた部品を右から左に売るのが主な仕事ですが、松本産業は「品質検証」までしているんです。例えば、それぞれ違う工場で作っている同じような部品の品質検証をして、この部品は価格は安いけど良い品だなど、第三者視点で平等に評価している。設備を見せてもらいましたが、3Dスキャナー、比重計、ゴム硬度計、引張試験機、恒温槽などがあって、何千万円とかの設備だそう。
あとは、「特殊3Dプリンター」もありました。最近あるような数万円の安い3Dプリンターと違って、やわらかい素材（ゴムに似たプラスチック）で立体製品を作れる数千万円のもの。バネみたいにビヨーンと伸びたり縮んだりもして、実際のゴム製品にかなり近い製品の試作ができる。そしてそれを扱えるスタッフがいるというのが違うんです！
会社から大事にされていると感じる充実した手当
望月：「松本産業株式会社」では、毎年新卒を2名程度募集しています。社長室主査・松本剛史さんに伺ったんですが、まず、松本産業は従業員の「健康第一」がモットー。会社内は全面禁煙。喫煙場所がどこにもない。社員でタバコを吸う人は23人中で2名のみ。実は昔は社長も吸ってたけど禁煙したそうです。吸わない人には「非喫煙手当」が毎月4000円支給されます。人間ドックも会社が8割負担。扶養の配偶者も8割負担。教育を重視しているので、仕事に必要な資格取得の費用は会社負担。もちろん交通費も負担。例えば、TOEICを取得したら毎月2万円の資格手当を支給してくれるんです。年間休日予定もすごい。来年度の年間休日予定は、年間120日に有給休暇で有給取得率も91％なんです。私が「奨学金の返還支援手当とかはないですか？」って聞いたら、「当たり前すぎて言わなかったけどあります」と。富士市在住の人に限るけど、月1万円支援してくれます。
原口：かっこいい！
望月：ちなみに、年1くらいでパートスタッフの募集もあって、パートにもいい制度があるんです。それが「給料の20日間保証」。ゴールデンウィークや祝日が多い月などで、例えば18日しか働けないときでも最低20日間分は保証してくれるんです。もちろん人間ドックも8割会社負担。大事にされている感じがしますよね。この会社のために働こうと思える！
原口：人材育成の観点から、資格を取ればそれに準じてお金もいただけると。
望月：資格を取るための費用も、設定されている上限額が高くて驚きました。
原口：ここで伝えきれないこともたくさんありそうですね。応募したくなってきました（笑）。技術的なことが必要かなと思いますが、手当てをみると、これから育成していきますよというのが伺えるので、気になった人はぜひ連絡してみてください。
＜DATA＞
■松本産業株式会社
住所：富士市島田町2-33-2
TEL：0545-52-4429
今回、お話をうかがったのは……望月やすこさん
静岡県内を中心に個人の撮影や取材撮影をするフリーカメラマン。撮影歴は25年。「人を笑顔にする撮影」と「面白いネタ探し」を得意とする。著書「子連れのタダビバ」シリーズ（静岡新聞社）では執筆も担当。ラジオ・テレビの出演など様々なメディアで活躍。
からの記事と詳細 ( 12台のロボットが大活躍！効率的な分業で人間と共存が可能に！松本産業株式会社／富士｜静岡新聞アットエス - ＠S［アットエス］ by 静岡新聞 )
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