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Tuesday, May 24, 2022

「もったいない」廃ガラス、窓や器に メーカーと作家がタッグ 富山 - 毎日新聞 - 毎日新聞

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廃棄ガラスを再利用した作品を制作する佐々木俊仁さん=富山市中老田のSグラススタジオで、青山郁子撮影 拡大
廃棄ガラスを再利用した作品を制作する佐々木俊仁さん=富山市中老田のSグラススタジオで、青山郁子撮影

 毎日大量に廃棄されているという工業用板ガラスの廃材を再利用し、近年需要が高まっているレトロガラスなどに再生させる取り組みを、富山市のガラス造形作家、佐々木俊仁さん(35)が始めた。名付けて「SDGs(持続可能な開発目標)ガラスプロジェクト」。「もったいない」精神で産業廃棄物が美しい作品に生まれ変わる。【青山郁子】

器類やレトロ窓ガラスに

 岩手県出身の佐々木さんは、大学時代にガラス造形に出会い2009年、富山ガラス工房(富山市古沢)のスタッフに。高い技術力を生かした洗練された作品が特徴で、19年に自前の工房「Sグラススタジオ」を同市中老田に開設した。

 約10年前、旅行で訪れた沖縄で、コーラなどの空き瓶を再利用した琉球ガラスを目にし、自分も環境に配慮した作品作りができないかと考え、富山ガラス工房の野田雄一・シニアアドバイザーに相談。これまで富山空港などのオブジェ制作で交流があった建築向けガラス建材メーカー、三芝硝材(富山県高岡市)を紹介された。

1日約20トンも廃棄されているという廃材ガラス=富山市中老田のSグラススタジオで、青山郁子撮影 拡大
1日約20トンも廃棄されているという廃材ガラス=富山市中老田のSグラススタジオで、青山郁子撮影

 同社では、1日約150トンもの廃材が生じ、一部はメーカーに引き取ってもらうが、約20トン分は産業廃棄物として処分しているという。佐々木さんは21年10月に同社を訪問。廃材を利用し今年に入って試作を始めた。

 通常の工芸用ガラスと工業用の板ガラスは成分が異なり、強度、均一性を求められる板ガラスは窯の中で溶ける温度が高く、冷えて固まるのも早い。そのため、作品として手作りするためには素早く加工する高度な技術が必要で、国内で同様の取り組みを行っている工房は北海道、沖縄など数えるほどしかないという。

美しい影も手作りならではの特徴の一つ=富山市中老田のSグラススタジオで、青山郁子撮影 拡大
美しい影も手作りならではの特徴の一つ=富山市中老田のSグラススタジオで、青山郁子撮影

 折しも近年、文化財級の古い建物の修復用に、手作りのレトロ窓ガラスの需要が高まっている。明治、大正時代などの古い建物には、職人が一枚一枚作ったガラスが使用されており、割れても現代の工場で生産された板ガラスは似合わない。同社にもこれまで度々問い合わせがあったが、工場では対応できなかったため、この企画は同社にとってもメリットがあった。

 手作りで窓ガラスを作るには、吹きガラスで一旦筒状にしたガラスを真ん中で切って板状にするという手間と技術が必要。完成した手作り窓ガラスは、手作りならではの独特の美しい影を映し出し、さらに器類は薄い水色で涼しさを演出する。今後、窓ガラスは同社で建築用として売り出す予定。また器類は佐々木さんの工房で数千円から販売。佐々木さんによると利用者のリクエストにも応じるという。

 作家側は材料費が抑えられ、企業側は利用者ニーズにも応えられるうえ、環境にも優しいという一石三鳥のこの企画。佐々木さんは「もったいないという気持ちを大切にし、持続可能なものづくりにつなげたい」と意気込む。問い合わせはSグラススタジオのホームページ(https://shunji-sasaki.com/)で。

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