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Tuesday, March 29, 2022

産業用蓄電システムの最新動向、これからの電力業界の展望を見据えた新製品も続々! - ITmedia

takmaulaha.blogspot.com

 エネルギーに関する国内最大規模の総合展「スマートエネルギーWeek 2022 春展」が3月16日〜18日、東京ビッグサイトで開催された。カーボンニュートラルに向けた動きが加速し、再生可能エネルギーのより効率的な利活用が求められるなか、その要となる蓄電池にも多くの出展があり、来場者の注目を集めていた。ここでは、いよいよ本格的な普及の兆しが見えてきた産業用蓄電システムについて、出展企業7社のブースをピックアップする。

ファーウェイ/分散型コンセプトを採用した産業用蓄電ソリューション

 2020年に住宅用蓄電システムを発表し、蓄電池市場でも急速に存在感を高めているファーウェイは、中型・大型それぞれの産業用蓄電システムを公開した。蓄電容量2MWhの大型産業用蓄電システム「LUNA2000-2.0MWH-1H0/2H0」と、同200kWhの中型産業用蓄電システム「LUNA2000-200KWH-2H0(暫定名)」だ。

ファーウェイの産業用蓄電システム

 まずは、大型産業用蓄電システムの受注を3月30日より開始する。同システムは、幅6m×高さ2.9m×奥行2.4mのコンテナ式でありながら、同社のパワーコンディショナー同様に分散型のコンセプトが取り入れられている。蓄電池を構成するセルごとに電池管理システム(BMS)が搭載されており、セル単位での独立制御が可能だ。これにより、セル間のバラつきを抑え、それぞれのセルを100%まで充電することができるという。また、1つのセルが故障してもモジュール交換で簡単に復旧でき、全体に悪影響を及ぼすことがない。

 さらに、パワーエレクトロニクスを活用した制御技術などにより、ライフサイクル充放電量の向上を実現。クラウドBMSで内部短絡をスマート検知し、火災リスクを大幅に軽減するなど、安全性にも優れているという。

サングロウ/独自の空調システムによりバッテリーの長寿命化を実現

 サングロウは、2020年に販売を開始した産業用蓄電システム「ST159KWH-50HV」を出展した。工場やスーパー、道の駅などに導入実績のある製品で、蓄電容量は159kWh。太陽光発電の自家消費、BCP・災害対策、ピークカット・ピークシフト、デマンドコントロールを利用した電気料金削減などの用途に使われているという。

サングロウの産業用蓄電システム

 上部に設置された空調システムとセルレベルの温度制御により、バッテリーの長寿命化を実現。防塵防水保護等級IP45をクリアし、過酷な屋外環境にも対応する。並列設置が可能なのでシステムの拡張も容易だ。高速遮断やアーク対策などにより電気回路の安全性を確保するとともに、迅速な状態監視により事前アラームや故障箇所の特定も可能となっている。

SMA/系統に調整力を供給。蓄電池発電所を実現する大容量4MWhシステム

 SMAはG-Techとのコラボレーションにより、需給調整市場を見据えた「蓄電池発電所」のための系統用蓄電システム「4MWh Container BESS」を開発し、パネル展示を行った。同システムは電力系統に直接接続することが可能で、各種電力市場での取引(電力系統内に余剰電力の発生が見込まれる際は充電し、不足する際は放電、あるいは電力系統への調整力を供給するなど)を通じ、再エネの有効活用や電力需給バランスの改善に寄与するものとなる。経済産業省の補助事業「再生可能エネルギー導入加速化に向けた系統用蓄電池等導入支援事業」にも適合する。

SMA/G-Techの蓄電池発電所ソリューション

 蓄電ユニットともに同システムの根幹を担っているのが、大規模ストレージシステム対応双方向パワーコンディショナー「SUNNY CENTRAL STORAGE1900/2475」だ。系統の安定性を確保するために必要となる大容量の再エネ統合に対応する。太陽光発電の変動を補正するよう設計されており、自動周波数制御といった包括的系統管理ソリューションを提供。通常の負荷において−25℃から+50℃までの温度範囲で連続運電できるように最適化されているので、厳しい環境下でも屋外設置が可能だ。

タオケイエナジー/10ftコンテナにオールインワン。VPPにも無償対応

 タオケイエナジーは、蓄電池・EMS・双方向パワコンなどを10フィートコンテナにパッケージした産業用蓄電システム「TK-ES-B430」の現物を出展した。蓄電容量は430kWh。10フィートコンテナタイプには、他に215kWhがある。複数のコンテナの組み合わせも可能だ。

タオケイエナジーの産業用蓄電システム

 DCリンク設計を採用して蓄電池の利用率を上げるとともに、高速な負荷追従制御により逆潮流の発生を防止。太陽光発電システムへの併設に最適化が図られているという。また、蓄電池遠隔監視システム「SmartOM」を標準搭載し、リモート管理の見える化を実現。VPP(バーチャルパワープラント)と接続する場合には、ソフトウェアのアップグレード(拡張機能)を無償で受けることができる。

 11.9MWhの系統用蓄電システムの模型も展示した。電圧調整機能を持ち、送電網の電圧の変動を防ぐために無効電力の総受電を実施する。広範囲に及ぶ停電が発生した場合には、ブラックスタートにも対応。外部電源からの電気を受電することなく、停電解消のための発電を行うことができる。平常時においては時々刻々と変化する周波数を調整し、電源脱落などの異常時には周波数低下を抑制するなど、充放電を素早く切り替えることで電力の安定供給に貢献。需給調整市場での取引を想定した先進の機能が搭載されている。

YAMABISHI/一体型orセパレート型、過積載率300%を実現する新製品も

 YAMABISHIの産業用蓄電システムには、コンパクトな筐体に双方向電源・蓄電池・MPPT DC/DCコンバータをオールインワンで搭載した「蓄電池一体型」と、用途に合わせて電源容量・MPPT DC/DCコンバータ容量・蓄電池ユニット数を選択可能な「蓄電池セパレート型」がある。蓄電容量12.4kWhの小容量からメガワットクラスの大容量まで、幅広い選択肢が用意されている。公共施設(学校・福祉施設・公民館・警察署・消防署・道の駅など)、工場、病院、オフィスなどに設置する場合、スペースが限定されるケースも少なくないが、さまざまなラインアップがあるのでシステム構築も容易だ。

YAMABISHIの産業用蓄電システム

 独自の新技術SmartSCにより、最適化制御が可能。36時間先までの気象予測データから太陽光発電量予測を、電力消費実績データから電力消費量予測を行い、電力消費に対する発電量の余剰・不足を割り出し、そこから蓄電池の適切な充電率をマネジメントする。この制御により、太陽光の発電能力を最大限に高め、より効率的な再エネ利用が可能になったという。

 同システムは、自家消費ソリューションとしてはもちろん、VPPソリューションとしても期待されている。通常時はピークカットなどの運用を行い、アグリゲータからの指令に応じて、任意のタイミングで充放電を実施。電力需要に合わせて、蓄電池を秒単位で高速制御することができる。

 2022年春には、コストダウンを実現した新モデルも発売予定。太陽光の過積載率を300%にまで高めることができるなど、これまで以上に多様なニーズに応え得るものとなっている。

ネクストエナジー/最長15年保証、環境省の補助金対象としても実績

 ネクストエナジー・アンド・リソースは、蓄電容量153.6kWhの産業用蓄電システム「LEVOLZA」を展示。同製品の特長として次の3つを挙げる。1.10年保証+5年延長保証(有償オプション)=最長15年保証。10年使用でSOH(劣化状態を表す指標)70%を保証し、5年延長時(11〜15年目)はSOH60%以上を保証する。2.安全性を重視した電池。内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくく、熱安定性が高いリン酸鉄系リチウムイオン電池を採用している。3.低価格の実現。システムをワンユニット化することでコスト低減を図った。

ネクストエナジー・アンド・リソースの産業用蓄電システム

 同社では、LEVOLZAが環境省の産業用蓄電池補助金「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」の対象製品であることをアピールし、企業の自家消費ソリューション、電気代削減、あるいはBCP対策としての導入を提案する。

チントソーラー/公共・産業用から容量1434kWhの大規模施設用まで

 チントソーラーは、蓄電容量73.7kWhの公共・産業用蓄電システム「CPS ES-30kW/73.7kWh」と、239kWhhから1434kWhの大容量まで拡張可能な中・大規模施設用蓄電システム「CPS ES62.5kW/239kWh」「CPS ES-125kW/239kWh」をラインアップする。

チントソーラーの産業用蓄電システム

 公共・産業用蓄電システムは既に各地に実績を持つもので、自家消費、BCP、ピークカット・ピークシフト、外部制御など多数のアプリケーションに適応する。442.2kWhまでの容量拡大が可能であり、重塩害地域への設置も可能。LFPセルを採用し、自動空調システムを装備。逆潮流の防止、PV&蓄電の出力制御、SOC均衡制御などの機能を持つ。

 中・大規模施設用蓄電システムは、完全オフグリッド対応で、マイクログリッドにも適応。モジュラー設計により、蓄電池クラスターの並列損失や故障リスクを低減し、負荷状況に応じてシステム全体をスマートに制御する。

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