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Wednesday, December 16, 2020

リバプールがつけこんだトッテナムの弱点。モウリーニョの巧妙な采配に苦しんだが、決勝点を呼び込んだのは…【分析コラム】 - フットボールチャンネル

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老獪なモウリーニョの采配

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【写真:Getty Images】

 ジョゼ・モウリーニョ監督の采配はこの試合でも光っていた。今年1月の前回対戦ではプレミアリーグデビュー戦となったジャフェット・タンガンガを右サイドバックに入れ、セルジュ・オーリエを右サイドハーフで起用する奇策を用意。オーリエとタンガンガでリバプールの左サイドからの攻撃を封じている。

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 この試合ではアンドリュー・ロバートソンとサディオ・マネを封じるために、ムサ・シソコを右サイドで起用。ソン・フンミンとハリー・ケインが2トップを組んだ。

 トッテナムはカウンターが武器だが、リバプールが相手であればその機会はおのずと減る。ソン・フンミンをサイドにおいて守備に奔走させるよりは、カウンターにより専念させる形を選んだ。

 しかし、シソコはロバートソンを捕まえられず、トッテナムは右サイドを執拗に狙われてしまう。ただ、モウリーニョの修正も速かった。

 まずはハーフタイムにシソコとジオヴァニ・ロ・チェルソのポジションを替えて応急処置を施す。そのロ・チェルソがイエローカードをもらうと、58分にロ・チェルソを下げてルーカス・モウラを投入している。

 モウラの投入は攻撃的な采配にも見える。ただ、イエローカードをもらっていたロ・チェルソの退場を避ける意味合いもあり、スピードのあるモウラでロバートソンに対抗する狙いもあった。もちろん、2トップとともにカウンターに厚みをもたらすこともできる。理にかなったモウリーニョの判断だった。

 76分には左サイドのステーフェン・ベルフワインを下げて、サイドバックのセルヒオ・レギロンを投入。高い位置を取るトレント・アレクサンダー=アーノルドに対応するための処置で、1-1のまま勝ち点1を見据えた現実的な交代策だった。

優れていたリバプールのDF

 首位攻防戦に相応しい拮抗した好ゲームだったが、リバプールがディフェンディングチャンピオンとしての強さを見せた。モハメド・サラーのゴールで26分に先制。一瞬の隙を突かれてソン・フンミンにカウンターからゴールを許したが、90分にCKからロベルト・フィルミーノが頭で決めて勝ち越し。リバプールが首位に躍り出た。

 スタッツで見ればリバプールが圧倒している。ボール保持率は76%で、807本のパスを成功させた。多くの時間を敵陣で過ごし、11本ものシュートを枠内に飛ばしている。

 しかし、押し込まれる時間が長かったトッテナムも8本のシュートを放っている。アーセナル戦(同5本)、チェルシー戦(同5本)、シティ戦(同4本)に比べてもチャンスを作れてはいた。

 しかし、それ以上にリバプールのディフェンスが優れていた。ソン・フンミンのゴールは一瞬の隙を突かれたが、ベルフワインのクロスするランニングがリース・ウィリアムスの対応を難しくさせていた。ベルフワインの決定機はあったが、リバプールの守備陣は最後まで集中力を切らさなかった。

 センターバックに入った19歳のリース・ウィリアムスはこれがプレミアリーグ初先発だった。UEFAチャンピオンズリーグではすでにプレーしているが、この日の相手はトッテナム。ハリー・ケインとソン・フンミンというワールドクラスのFWと対峙したが、トレント・アレクサンダー=アーノルドやジョーダン・ヘンダーソンのサポートも借りながら根気強く守っていた。

トッテナムの弱点

 モウリーニョの老獪な采配も実らず、リバプールが勝ち点3を獲得した。勝負を分けたのは90分のセットプレーからだった。

 リーグ最少タイの失点数がトッテナムの躍進を支えているが、セットプレーからの失点は多い。データサイト『Whoscored.com』の集計では今季はセットプレーからの失点がリーグ4位で、失点全体を占める割合としてはプレミアリーグワースト。優秀なキッカーが揃うリバプールにはつけこむチャンスが十分にあった。

 この試合のCKはリース・ウィリアムスやジョルジニオ・ワイナルドゥムを狙うことが多かった。フィーチャーされる機会は少ないが、フィルミーノはヘディングにも強い。今季のレスター戦で決めたゴールも86分に決めたもので、CKを頭で合わせている。180cmと上背はそこまでないが、ボディバランスに優れている。

 ユルゲン・クロップ監督も「実のところ、練習でも見たことない」とフィルミーノのゴールを振り返ったが、それを試合でやってしまうのがフィルミーノ。レスター戦のゴールもほぼ同じ形から決めている。

 ゴールを決めたフィルミーノはサポーターが待つ自陣のゴール裏へ、この日一番のスピードで駆け寄った。フィルジル・ファン・ダイクとジョー・ゴメスが抜け、ディオゴ・ジョッタもいなくなったが、熱狂的なサポーターがアンフィールドに戻ってきた。試合終了間際の得点は、彼らが呼び込んだのかもしれない。

(文:加藤健一)

【了】

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