DJIは2020年2月22日、産業用ドローン「MATRICE 200シリーズV2(以下M200シリーズV2)」と、ドローン管理ソフトウェア「FLIGHTHUBエンタープライズ」を発表。同日から全国のDJI Enterprise正規代理店で販売を開始した。
M200シリーズV2は、より優れた信頼性、安全性、セキュリティ機能を装備するなど機能を強化した。FlightHubエンタープライズは、ベーシックやアドバンスプランにはない機能が追加することで、ユーザーにより多くの実装制御とデータセキュリティの保証をもたらす。
今回のアップグレードにより、産業ドローン利用者は、BVLOS(目視外飛行)や夜間運用のための技術的基盤を築きながら、ドローンプログラムの拡張および管理をすることができるようになる。
M200シリーズV2が実装する機能は次の通り。
データの伝送方式はDJI独自規格である「OcuSync 2.0」を採用。最大8kmの伝送距離を誇り、2.4GHzから5.8GHzの自動デュアル周波数帯域の切替にも対応しているため、高解像度で低遅延のデジタル映像伝送が可能だ。OcuSync 2.0から送信される全データは、最先端のAES-256規格で暗号化するため、承認された関係者しかアクセスできない。
新機能「TimeSync」によりデータの精度も増した。フライトコントローラー、カメラ、GPSモジュールや搭載アクセサリーなどを連続して連携させ、位置データを画像フレームの中心に固定できる。カメラやジンバルなど複数の機器を搭載する場合でも、同社のフライトコントロールアプリ「DJI Pilot」を操作することで機体の重心を簡単に調整できるなど、飛行性能も向上している。
安全性能の強化もぬかりない。米国連邦航空局の夜間適用免除基準を念頭に置いて設計された衝突防止ビーコンが低照度環境下や夜間飛行の安全性を高めたほか、ADS-B受信機が接近する有人航空機の情報を操縦者へ提供するなど、飛行中の衝突リスクを下げる工夫が施されている。
M200シリーズV2と併せて、ドローン運用の監視や飛行データの管理、フリートと操縦者の管理、効果的な運用計画機能を提供するFLIGHTHUBソフトウェアが発表された。同ソフトウェアのプランは、米国拠点のサーバにフライトログを保存するベーシックおよびアドバンスのほか、より多くの追加機能を持つエンタープライズがある。
エンタープライズプランの最大の特徴はプライベートホスティングで、ユーザーが管理する既存の組織リソースやセキュリティプロトコルを利用してワークフローを構築できる。
他にも、伝送データをクラウドではなくプライベートITインフラにのみ直接送信する機能を持つエンタープライズプラン専用アプリ「DJI PILOT PE」、ドローンのファームウェア更新を一元管理し、ユーザーの裁量で認証・更新できる「ファームウェア管理機能」、ウェイポイントなどをパイロットに自動送信し、ドローン運用計画の立案・監督を行う「ミッション計画機能」、ドローン本体とバッテリーの使用状況を記録することで、メンテナンスがスケジュール通りに実施されるようにする「デバイス管理機能」など、エンタープライズプランにしかない機能が多数追加されている。
機能強化したM200シリーズV2およびFLIGHTHUBエンタープライズプランの今後についてDJIは、ドローン技術をシンプルかつ安全、確実に取り入れたいと望む自社ユーザーを念頭に、FLIGHTHUBエンタープライズを同社の一体化ソフトウェアプラットフォームであるThe Ground Controlに統合することを検討している。
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