主力企業をレポート
第2回高機能塗料展が12月4日から3日間、幕張メッセで開催された。期間中は塗料メーカーや塗装機器や塗料販売店など塗料・塗装に関わる企業が広く出展した。3日間で5万4,036人が来場した。出展企業は自社製品、サービスをアピールした他、まだ製品化されていない技術も紹介し、来場者からニーズを聞く。「来場者からのヒアリングで自社の新しい技術がどこで使えるかを見つけていきたい」(塗料メーカー)と今後の成長市場を探る。
機能を分かりやすく
日本ペイントホールディングス
日本ペイントホールディングスは「復る」「進む」といったキーワードに沿った研究開発技術を出展した。
「復る(かえる)」ゾーンでは電気の力を利用することで、短時間で塗膜を剥離、金属基材を復活させる新たな剥離技術の紹介を行った。ブラスト工法と比較して塗膜片などの飛散がないため、騒音や飛散防止対策が不要になる。更に、剥離液は水性のため火災の危険性も低い。「素早く、簡単、安全に剥離できる」と説明した。
また、「進む」ゾーンでは防汚剤フリー自己研磨型防汚塗料 「アクアテラス」を出展した。この塗料に使われているのが新規加水分解防汚技術 "HydrophiX" テクノロジー。親水・疎水ミクロドメイン構造と加水分解反応により、船体の摩擦抵抗を低減できる。防汚剤を全く含まず海洋環境にも配慮した。また、安定したポリッシングにより長期防汚性と優れた低燃費効果を発揮する。
その他、「操る」ゾーンでは高比重の磁性粒子を媒体中で安定化させ、磁性で応力を自在に変化できる材料を開発。塗料の基盤技術を生かした。「塗装時のたれとレベリングの両立や、塗膜の傷つきなどの課題解決にもつながるものと期待している」と話した。
外板カラーシミュレーションを紹介
関西ペイント
関西ペイントはR&D研究所での出展となり、同社の研究開発技術を訴求した。自動車分野では明度の面積比率と光学カラーデータを活用した車の形状による印象の違いを可視化できるツールを出展。開発色が特定の三次元形状物に塗装されたときの見え方を二次元のカラーシミュレーション画像で簡易的に表現することで塗装時の印象をシミュレーションすることが可能。自動車形状にあった魅力的な塗色の開発が行える。「同じ色でも形状によって明暗があったが、当社のツールを使用したカラーシミュレーションを行うことで魅力的なカラーが見えるアドバイスも行うことができる」(担当者)とメリットを説明した。
また、新規表面改質技術により撥水撥油化する塗料も紹介。表面の無機高架橋塗膜は、落書きマーカーなどの塗膜を侵す汚染物質に対して高い浸透抑制効果を発揮する。「今後更に成長していくためには1社では限界がある。さまざまな企業と提携することでまだ我々の知らなかった塗料や技術の使われ方を模索していきたい」(担当者)と今後の方針を話した。
分野ごとに一押し製品を出展
大日本塗料
大日本塗料は重防食、工業用、建築用、家庭用とゾーンを分け、製品紹介を行った。工業用ゾーンでは環境への対応として超耐候性フッ素樹脂粉体塗料「パウダーフロンSELA」を紹介した。フッ素樹脂の優れた耐候性ポリエステル樹脂の高い付着力、柔軟性を有した1コートフィニッシュ型の粉体塗料。「環境がひとつのキーワードになっている。粉体塗料はVOCが出ない、現場での品質管理が容易などさまざまなメリットがある。溶剤塗装から粉体塗装へ切り替えたいという需要も出てきている」(担当者)と現状を説明した。
その他、重防食用ゾーンでは塗ることで旧塗膜のはく離を抑制するインフラ設備補修用塗料「ケルビンα2.5」を出展した。建築用ゾーンではにおいを抑えた室内用塗料「COZY PACK(コージーパック)」、家庭用塗料ゾーンではサンデーペイントが、塗るだけでくもりガラスになる「くもりガラススプレー」を紹介した。
UV粉体塗料を開発
神東塗料
神東塗料は新規開発技術を生かした機能性塗料を多く出展していたが、その中でも来場者の関心を集めていたのがUV硬化粉体塗料だ。
省エネ、生産性、CO2削減効果が期待できることから粉体塗装の低温硬化ニーズは高まっている中で、究極とも言えるUV硬化タイプ。
同社が開発したUV硬化粉体塗料であればUV照射120℃×10秒で硬化するため、コンベアスピードのアップやラインの短縮が可能で、更にはMDFや塩ビなど金属以外にも塗装が可能。出展ブースには実際にMDFにUV粉体塗装したピースを並べていた。被塗物の形状や素材、設備などさまざまな条件を考慮する必要があるため、ユーザーごとに対応していく意向。その他にも超撥水粉体塗料やジンクリッチパウダーなども出展し、機能性粉体塗料をアピールした。
新スプレーガンWIDER披露
アネスト岩田
アネスト岩田グループでは、アネスト岩田コーティングソリューションズとアネスト岩田コンプレッサが共同出展。オイルフリースクロールコンプレッサや窒素ガス発生装置などとともにフルモデルチェンジしたスプレーガン「WIDER」を披露した。
WIDERは工業塗装向け汎用スプレーガンとして品質の安定性とメンテナンス性を向上させている。トリガーの先端形状をなだらかにすることで、少量塗布時の操作性の向上を図っている。
ブースでは塗装ユーザーがスプレーガンを手に取ってその軽さや操作性を確かめながら、担当者から説明を受けている様子が見られた。
天然由来成分の塗料で環境対応
カシュー
カシューは植物由来の油を使用したコーティング「UV-CNSL」を出展。もともとカシューナッツの油を使用した塗料を製造していた同社。その原点に立ち返り、環境にやさしい天然由来の油で開発した塗料を紹介した。「世界的に将来脱プラスチックという流れの中にあり、素材がリサイクル素材に代わる可能性もある。それに合わせ、当社でも環境にやさしい製品を訴求していきたい」(担当者)と未来を見据えた出展となった。その他にも、箸や皿など一般的に家庭で使うものに塗装を施し、塗料を身近に感じてもらえるよう配慮したブースとなった。
コンベアレス塗装システムを開発
タクボエンジニアリング
タクボエンジニアリングは、最大ブースで高機能塗料展に出展。新開発したコンベアレス塗装ライン「クイックシステム‐UV」や治具なしでマスク効果が得られる「マスクレスコーティングシステム」、シリンジポンプで制御する「2~3液精密塗料混合システム」を披露し、多くの来場者が集まった。
コンベアレス塗装ライン「クイックシステム‐UV」は、UV塗装の特性を生かしたシステムで、ワークロードから約1分で塗装品を完成できるのが特長。除塵・除電、塗装、乾燥、UV照射の各工程をモジュール化し、更にスワンのWターンを改良し、搬送装置機能を持たせ、塗装スペースのコンパクト化かつエネルギーコストの削減を実現した。
意匠性粉体でデザイン性を訴求
ロックペイント
ロックペイントは粉体塗料の新製品を紹介。その1つである防食性の高いプライマー粉体塗料は耐水性と耐食性が高く、さまざまな素材・上塗り塗料に対応する。上塗り塗料はノンサイディングで塗装ができる。その他、意匠性粉体塗料としてサテン調やリップル調、スウェード調などさまざまな模様が付けられる。「鋼製家具などでは独特の意匠を求められることも多くなってきている」と担当者。今後は模様の他に色数も増やし、デザイン性を求めるニーズに応えていく考え。
その他にも塗って剥がせるホワイトボードペイント「キャンバスロック」や小瓶に入った包みに水を入れるとステインに変化する「水性ステイン くるみ」(開発品)を出展した。
トラック荷台の木材を保護
イサム塗料
イサム塗料は木部用塗料「ウッドプロテクト」を紹介した。雨や紫外線から木材を守る塗料としてトラックの荷台に使用される木材への塗装を訴求した。トラックの荷台にある下敷き材として使用される木材は荷物の積み下ろしが頻繁にあるため割れや摩耗がしやすいという。「この製品で保護することで劣化を防ぐことができる他、美観の向上にも寄与する」(担当者)と自信を示す。また、工業用塗料「アクアシャインGA」、大型車輌用塗料「ハイアートCBエコ」などの製品を出展し、現在とは違ったニーズを探った。
夏の暑さ対策製品を紹介
好川産業
好川産業はエアコンジャケット「ACJ」を新たに提案。熱交換素子と体表面温度生理学を組み合わせた画期的な空調服。人間の皮膚とインナーを過湿フィルターの代わりに利用することで、人間が熱いと感じることがない体感温度28度以下をキープする。「この時期から暑さ対策の提案を行うことで、来年の夏使っていただけるよう早めに動き出したい」と来年の夏の本格採用を見据えている。
また、レーザーブラスト装置を改良し200kwの手持ち式にした。ブースではレーザーブラスト機器のデモを行い多くの来場者の注目を集めた。
インクジェット自動塗装装置出展
デュル・ジャパン
デュル・ジャパンはインクジェット技術を利用したオーバースプレーのない自動車塗装装置を出展した。先端にあるカメラで被塗物の形状を認識し、最適な動きで塗装を行う。平面ではデータを蓄積しており、良好な結果を得ている。「今後は垂直面での塗装が課題。重力の力が働くためタレなどがどうしても出てしまう。塗料などの技術とも協力して進めたい」と説明した。
塗着効率にも寄与するスプレーガン
板通
板通は塗装機器や塗料などさまざまな課題解決商品を出展した。その1つとして塗装工場向けにパターンが均一になる自動塗装用のスラリートガンを紹介した。パターンエアーが出る部分を加工することで膜厚が均一で塗りムラを少なくした商品。塗着効率も10~15%向上させた。その他にも、撥水撥油や抗菌、抗ウィルスなど機能性を付与できる塗料を紹介した。
塗板塗装を機械化
NCC
NCCは塗板塗装機「TABLE COATER TP-XZ」を出展。同品はテストピース作成用のスプレーガン付きの塗装ブース。手吹き用のスプレーガンをセットするだけで機械が代わりに塗装してくれる簡単仕様。スプレーガンを交換するだけなので色替え作業も簡単にできる。また、クリーンユニットを搭載し、きれいな空気を供給できることでゴミブツが大幅削減できる。
絶縁粉体塗料システムをPR
IEC
IECは絶縁粉体塗装の流動浸漬システムとヘッドコーターシステムを出展し、同社の塗装ハンドリング技術をPRした。
絶縁被膜は電気自動車の普及に伴ってさまざまな部品で必要となっている。粉体塗料を用いて絶縁被膜を形成する上で、被塗物や用途に応じて最適な塗装方法を提案した。
また、グラコ、サメス、CFTランズバーグ、ワグナーの2液混合装置を並べてそれぞれの特徴を説明した。
「飛散が少ない」AIRMIX訴求
明治機械製作所、サメス・クレムリン
明治機械製作所はサメス・クレムリンと共同出展し、エアミックス塗装機「AIRMIX」を展示した。
同品はチューリップパターンの噴霧形状を形成するテクノロジー「Xcite」により、均一な塗膜と最大86%(±2%)という高い塗着効率を実現。また空気量を少なくし霧状に塗料を塗布することで、跳ね返りが少なく入り隅などの奥まった箇所にもムラなく塗装でき、塗料消費量の削減に寄与する。
ブース内では実際に「AIRMIX」を使った塗装デモンストレーションを実施。塗料の飛散が少なく、スーツを汚さずに塗装できるパフォーマンスが注目を集めた。
"工業用" - Google ニュース
January 17, 2020 at 02:42PM
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第2回高機能塗料展を開催、模索続ける塗料R&D - ペイント&コーティングジャーナル CoatingMedia Online
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